超絶初心者から上級ブロガーへ!?~もこぶたのブログ奮闘記~

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今こそ老後に向けて知っておきたい!~企業型確定拠出年金(企業型DC)とは~

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こんにちは!ブログ上級者ワナビーこと、もこぶたです!

今回は、企業型確定拠出年金(企業型DC)についてお話していきます
企業型DCは、確定給付企業年金(DB)と同じく企業年金制度の1つで、退職金の財源となっています。

私は普段金融機関で法人営業をしており、退職金制度の設立から運用コンサルなんかもやっております。この記事では、その経験を活かして初心者にも分かりやすく解説していこうと思います!

☑この記事を読んで欲しい方
・会社の退職金について知りたい方
・退職金の財源・運用の仕組みに興味がある方
・人事総務など、仕事で退職金に携わっている方

 そもそも退職金って何?という方は、基礎知識についてまとめた記事を書いておりますのでご覧ください!

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また、確定給付企業年金(DB)について興味がある方は、こちらの記事をご覧ください!

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企業年金の概要と歴史

 

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企業型DCについて学ぶためには、まず企業年金が何かを理解することが大切です。ここでは、まず企業年金の概要と歴史について見ていきます。

※DBについての紹介記事(https://mocobuta.hatenablog.com/entry/2020/03/08/210834)に書いた内容と同じものですので、もうお読みになった方は飛ばして下さい!

企業年金って何?

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DBについて学ぶ前に、企業年金とは何かについて理解しておく必要があります。
我々が老後にもらえる年金のうち、最も中心となってくるのが公的年金と呼ばれるものです。これは、国民年金と厚生年金の2つが含まれています。
この公的年金の上乗せとして、企業が年金を支給してくれる制度こそが企業年金なのです。退職後、退職年金か退職一時金としての受け取りが可能です。
※すべての企業が実施しているわけではありません。詳しく知りたい方は、勤め先の退職金規程をご参照下さい。
昨今老後2000万円問題などが取り沙汰されていますが、このように企業が上乗せ支給してくれると大変ありがたいですよね。

どうして企業年金ができたの?

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次に、なぜ企業年金という制度が発足したのか、その背景について目を向けてみましょう。
企業年金が生まれる前は、退職者が発生するたびドカンと支払う「退職一時金」が主流でした。しかし、それだと
・企業が内部で多額の資金をためておく必要がある
・同時に何人も退職者が出た場合の負担が大きい
などの問題点がありました。これを解決するため、退職金を分割して払う企業年金という概念が生まれたのです。
一見すると、「ちまちまとしか受け取れないなんて困る!」という不満が出てきそうですが、受給者にもきちんとメリットがあります。実は、年金受け取りにすることで、利息が上乗せされ、総支給額が増えるのです。
そのため、企業・従業員にとってwin-winな制度である企業年金が広まっていったのです。

 企業型DCの制度概要

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それでは、企業型DCについて勉強していきましょう。まずは、例の如くDCが何の略かについてです。
DCとは、Defined Contribution Pension Planの略です。これを和訳したものが、確定拠出年金という訳です。
ちなみに、DCには、企業が掛金を拠出する企業型DC個人で加入できる個人型DC(=iDeCo)の2種類が存在しますが、この記事では企業型DCについて触れていきます。
iDeCoに関しても後日記事にしますので、是非ご覧ください!

企業型DCって何?

企業型DCとは、企業が掛金を拠出し、従業員が運用し、運用成績に応じた額が退職金として給付される制度です。
DBでは、掛金拠出から運用・給付まで企業がやってくれるので、従業員の負担はほとんどありませんでしたよね。このDCでは、従業員自身が資産を運用しなければならないんです。
運用というのは、金融商品の選択や資産配分の決定などを指します。例えば、掛金の50%を株式・25%を債券・25%をREIT、といった具合です。
そして定年退職を迎える60歳以降に、積み立ててきた年金資産を一時金(退職金)、もしくは年金の形式で受け取るのが、企業型DCという制度なのです。

企業型DCの掛金制限

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※画像出典:労働金庫連合会HP(http://www.rokinren.com/kigyonenkin-support/company_dc/installment.html

企業型DCの掛金は、上記の通り上限が決められています。従業員は、決められた掛金を運用し、なるべく高いリターンを目指して運用していくわけですね。

運用商品ってどう選べばいいの?

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ここで注意してほしいのが、運用商品選びです。DCの運用商品には様々なものがあります。代表的なのが、国内株式・外国株式・国内債券・外国債券などですが、中には元本保証型の商品(定期預金や生命保険)が存在します。
よく陥りがちなのが、「絶対に元本割れしない商品で運用を続けよう!」というものです。ひとえに間違いとは言えないのですが、この運用方法では、「将来受け取れる退職金の額」は「企業が想定している額」よりも少なくなってしまう可能性が極めて高いです。
というのも、企業は想定利回りというものを設定しています。これは、「従業員が毎年○%の利益を出しながら運用してくれるだろう」という利回りで、多くの企業が2%前後にしています。

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例えば「20年間働いた人に1000万円払う」制度を作るとき、毎年50万円掛金を拠出するのではなく、想定利回り2%で割り戻した額(<50万円)しか拠出してくれません。そのため、従業員は想定利回り以上の運用をしないと、本来貰えるはずの水準がもらえなくなってしまうのです。

そして、この利回りを実現するためには、リスク性資産(元本が割れるかもしれない資産)での運用が求められます。なぜならば、元本保証型の商品はその分利回りが低いため、それ一本では到底リターンを稼ぐことができないからです。

なので、企業型DCに加入している方は、リスクとリターンのバランスを考えながら商品を選択する必要があるのです。

マッチング拠出って?

前述の通り、企業型DCには掛金の上限が存在します。従業員の中には、より多くの掛金を拠出して運用したいと考える人もいるでしょう。そのような声にこたえる制度が、マッチング拠出なのです。

マッチング拠出とは、企業が拠出する掛金とは別に加入者も掛金を拠出し、退職後の資産形成を推進する仕組みです。利用するかしないかは、各加入者の任意となります。

ちなみに、マッチング拠出の金額にも上限が設けられています。会社の掛金との合計で拠出限度額である月額55,000円を超えることはできません(企業年金を併用している場合は月額27,500円)。また、会社の掛金を加入者本人の掛金が上回ることもできません。

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※画像出典:労働金庫連合会HP(http://www.rokinren.com/kigyonenkin-support/company_dc/matching.html

企業型DCのメリット・デメリット

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これまで企業型DCについて勉強してきましたが、「面倒くさい」「難しそう」などのネガティブな印象を持った方も多いのではないでしょうか?
ただ、そのような印象を吹き飛ばすメリットも存在するのです!ここからは、メリット・デメリットについて見ていきましょう。

メリットは?

まず第一に、運用がうまくいけば予想以上の退職金を手にできる点が挙げられます。実際に運用していくことで投資に関する知識も付きますし、徐々にコツがわかってくると思います。
どこかで損失を出しても、加入期間が長ければ長いほど取り戻すチャンスもあるため、結果として想定利回り以上の退職金を受け取れるケースも多々あります。

次に、税制の優遇がある点もメリットの一つでしょう。掛金拠出・運用・給付のそれぞれのタイミングで、本来課税されるところが非課税になるというメリットがあります。
まず、DCの掛金として拠出されたお金は、個人の所得と見なされません。1万円の給与には課税されるのに対し、1万円のDC拠出には課税されないのです。これは、長い目で見るととても大きな効果があります。

次に、運用して得た利益に対しても非課税です。通常の資産運用であれば、利益の20%ほどが税金として引かれてしまいますが、DCの場合全額受け取れます。

最後に、退職金として受け取る際も、一時金なら退職所得控除・年金なら公的年金等控除という税制優遇がなされます。

ちなみに、企業にとっての大きなメリットとして、退職給付債務(=PBO)を認識しなくてよい点が挙げられます。ただ、こちらは少し難しい話ですので、今回は割愛させていただきます。

これらが企業型DCの主なメリットです。

デメリットは?

ただし、当然ながらおいしい話ばかりではありません。注意すべきデメリットもいくつかありますので、ご紹介します。

まずは、損失が発生した際の責任は従業員に帰属します。極端な話、運用した結果資産が半分以下になった場合でも、企業は補填してくれません。すべてが自己責任、それが企業型DCなのです。

また、企業が運営する制度なので、運用商品ラインナップの中に、これだ!と思える商品がない場合もあります。自分で証券口座を開いて運用する場合には起こりえない問題ですが、企業の制度ならではの懸念点と言えるでしょう。

ここからは、企業にとってのデメリットです。

まず、掛金の拠出が必要である点です。運用や給付に責任がない点から、DBよりは負担が少ないものの、退職金を給付するだけの財的体力が求められます。

また、DCならではのデメリットとして、従業員への継続的な投資教育が求められるという点があります。
現在はあくまで努力義務という位置づけですが、従業員が大損しないよう、企業としても最大限教育の機会を設けてあげる必要があります。ここにかかるコストや事務の手間などは、企業型DC特有のデメリットでしょう。

以上が、主なデメリットです。

まとめ

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今回は企業型DCについて勉強してきましたが、いかがでしたでしょうか。
退職一時金やDBに比べて難解な制度であることは間違いありませんが、それを補って余りある制度として、近年導入する企業が急増しています。ぜひこの機会に理解を深めていただき、ご自身の生活に落とし込んでいただければ幸いです。

 今後も色々と発信していくので、もこぶたのブログ奮闘記をよろしくお願い致します!